テキスタイルと家具をつなぐ(たかやま)

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特徴

  • 得意なこと: 素材(テキスタイル)と構造(家具)の融合
  • 得意なこと: 工房同士の技術連携による価値創出
  • 得意なこと: 「生活の道具」としての再編集
  • 得意なこと: 手工業的量産による実用性と個性の両立

技術の背景にあるわたしたちの取り組み

素材と構造の融合
布の柔らかさと家具の構造性を掛け合わせ、新しいプロダクトのあり方を生み出す。
用途の拡張(衣から住へ)
テキスタイルを衣服から家具・空間へと展開し、暮らし全体に広がる価値へと転換。
異分野協働による新しい価値創出
織物と木工など異なる技術が交わることで、単独では実現できない表現や機能を実現。
手仕事と量産性のバランス
工業的な精度と手作業のニュアンスを両立し、実用性と個性を兼ね備えた製品を生む。
生活に根ざしたデザインへの再編集
テキスタイルの魅力を、日常的に触れる家具として再構築し、長く使われる価値を創出。

解説

福岡県南部の筑後地域は生活工芸の集積地だ。木工(家具・仏壇・木桶・まな板・玩具等)、竹細工、和紙、提灯、陶芸、染織物、鍛治…多種多様な生活にまつわる工芸が、未だそれぞれ細々とではあるが残っている。これだけ密集したその理由は何か、を追求していくと辿りつくのは「筑後川」だ。

九州最大の河川でもある筑後川は、阿蘇山を水源として水郷・日田市を通り、筑後地域を通って有明海へと流れ込む。ものづくりには必須である「水源」としての役割だけではなく、交通の大動脈としての役割も果たし、日田の丸太を筏にして大川まで運ぶ「筏流し」が行われていた。福岡県大川市の家具産地はこうした筑後川の物流に支えられて発展したといわれている。

福岡県八女郡にある株式会社たかやまは、ものづくり集積地の筑後地域で、子供用玩具やベビーベッドなどを主とした木工業をはじめた。その後、時代の需要に合わせて、家具制作へ移行していき、現在は「無垢材」にこだわったセミオーダー家具を制作している。

2013年頃には福岡県が主導していた「ちくご元気計画」事業で、デザイナーの高須学さんと出会う。機械と手仕事が混在した、たかやまの中量生産のものづくりに着目し、manufactureからとった「manuf」という新しい社内ブランドを立ち上げた。

ペーパーコードを使った編み座スツールは、まさに工場制手工業という「たかやまらしさ」を模索する中で生まれた表現だった。機械は使わず、編みはすべて2名体制の手作業で行われるため、1脚編み上げるだけでも半日から1日がかりだ。いぐさや絣糸など、他素材でも実験的に試したものの、強度や曲がりやすさなどなかなか調整が難しく、今のところはペーパーコードが最も相性が良いという。

編み座があることで「木工」だけではない、他業種との関わりしろも生まれている。I/KATプロジェクトという、デザイナーの飯田将平氏をクリエイティブディレクターに迎えた久留米絣産地の広域的な取り組みでは、編み座にテキスタイルとの親和性を見出し、絣糸のように染め分けたペーパーコードを使ったスツール作りにも協力した。

家具に使われる木材は広葉樹が好ましく、現在は北米・ヨーロッパなどからの外国材がほとんど。しかし国産材にも挑戦したいという思いで、たかやまでは10年ほど前から国産の栴檀や栗の木材を椅子の脚として使っている。特に栗は染色にも向いており、柿渋を塗ってから鉄媒染の溶液を塗ることで、黒く発色させることができるのだという。

ものづくりは、素材と技術の組み合わせでできあがっている。かつて筑後地域は、さまざまな作り手や産業が重なり合い、時には協力しあいながら、その生態系を成り立たせていた。そのあり方は、手工業が激減した現代だからこそ、再び大切になっているのかもしれない。

布と木がつくる、暮らしの新しい接点

私たちは、テキスタイルと家具という異なる領域をつなぐことで、暮らしの中に新しい価値を生み出したいと考えています。布の持つ柔らかさや表情と、木工の構造や耐久性を掛け合わせることで、これまでにない使い心地や美しさを実現しています。異なる技術や素材が出会うことで生まれる可能性を大切にしながら、日常に根ざしたプロダクトとして、長く使われるものづくりを目指しています。