機械で括る(久留米絣広川町共同組合)
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特徴
- 得意なこと: 機械括りによる効率的な生産体制
- 得意なこと: 産地全体を支える共同インフラ
- 得意なこと: 職人不足を補う仕組み
- 得意なこと: 伝統技術と機械化の共存
- 課題: 表現の細やかさの制約
- 課題: 機械依存による柔軟性の低下
技術の背景にあるわたしたちの取り組み
- 安定した量産能力
- 機械によって括り工程を効率化し、均一な品質で大量の糸を処理できる。
- 高い再現性と精度
- データに基づいた作業により、同じ柄を繰り返し安定して再現することが可能。
- 産地全体を支える基盤技術
- 複数の織元の括り工程を担うことで、久留米絣産地の生産を支える重要な役割を果たす。
- 人手不足を補う仕組み
- 括り職人の減少を補完し、技術の継続と生産維持を可能にする。
- 伝統と機械化のバランス
- 手括りの技術を補完しながら、現代の生産体制に適応した効率的なものづくりを実現。
解説
久留米絣を絣たらしめているのは、紛れもなく「括り(くくり)」だ。絣という言葉は、糸を縛って模様を作る技法のことを指し、英語でいう”ikat”と同義で使われる。”Ikat”の語源は、マレー語で「縛る」を意味する言葉で、当時から絣を作っていたインドネシアを支配したオランダ人たちによって、テキスタイルの名前として広められたと言われている。

この重要工程である「括り」には、ひたすら手作業で縛っていく「手括り」と、機械を使って縛っていく「機械括り」の2種類がある。世界中のほとんどの絣産地は手括りだが、日本ではこの「機械括り」が開発されたことで、絣織物の中量生産が可能になったが大きな特徴だ。日本の中でも、いまだにこの機械括りが行われ、産業規模で残っている絣産地は久留米絣のみとなった。
久留米絣の産地では、この括りの工程は分業化されており、かつては括りだけに特化した「括り職人」がたくさんいた。織りの出機(だしばた)システムと同じように、職人の自宅や工房に括り機が置かれ、いろんな織元が持ち込む糸と図案をもとに、ひたすら毎日括る。しかし久留米絣の生産規模が年々縮小していく中で、括りだけでは成り立たなくなっていく。

そこで現在では、織元が協同で運営する「久留米絣広川町協同組合」が括り職人を抱え、組合の中で機械括りや括り解きが行われている。そこはいわば、久留米絣産地の心臓部。括りが止まると、久留米絣も止まる。一心同体なのだ。
括りの機械、といっても自動化された最先端の機械ではない。久留米絣が織られている小幅の動力織機と同じように、人の手と目がなければ動かすことができない。近年では大学との技術開発も進み、緯糸の括りであれば図案のスキャンをして自動で動かすことができたりなど、効率化にも取り組んではいるが、糸が切れたり間隔を調整したりと、微調整をしなければいけない要素も多い。

経糸の括りも、織元が持ち込む図案をもとに、括りのピッチを計算して機械に入力しなければならない。括るために使う綿糸は、手作業で小麦粉をつかった糊に浸しボビンに巻きつける。括りを間違えば、生地の模様に影響が出てしまうため、丁寧に進める必要のある責任重大な仕事なのだ。
機械括りがあることで、久留米絣はその技術を現代においても残してくることができた。文化財などの久留米絣ではない限り、手括りではあまりにも生地が高額になってしまい、普段から身につける洋服や小物などに使うのは難しくなってしまう。久留米絣広川町協同組合は、手仕事と産業の中間にある久留米絣のアイデンティティを支える重要な場所なのだ。
産地を支える、括りのインフラ
私たちは、久留米絣の要となる括り工程を担う存在として、産地全体のものづくりを支えることを使命としています。機械括りによって安定した品質と生産量を確保しながら、各織元が多様な表現に取り組める基盤を提供しています。担い手が減少する中でも、技術と工程を絶やさず次の世代へとつないでいくために、伝統と機械化のバランスを大切にしながら、産地の持続可能な未来を支えていきます。